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2006/04/12

日本が危ない:靖国神社問題の本質 3

国家神道を学ぶ 1

靖国神社そして国家神道
基本的に日本人が無宗教であることの原因を、明治維新後の仏教の抑圧と国家神道体制に求める識者は多い。
国家神道について多少とも知識がないと、靖国神社問題の本質を理解することは難しい。
より深く靖国神社問題を理解するためには、明治から敗戦まで強力に国民の精神面を支配していた、国家が構築した統治システムである国家神道体制について知っておく必要がある。
国家神道体制を、正確且つ詳細に論ずることは難しいが、靖国神社を理解するのに必要な範囲で、その概要を確認しておきたい。

統治システムとしての国家神道体制

やや乱暴であるが、まずは簡単に国家神道を定義する。
「国家神道の神は、天照大神と歴代の天皇である。日本国が神により造られ、天皇によって統治されてきたとの認識を元に、神社神道流の教義と儀式により国を統治する祭政一致の統治システムである。」
国家の主権は当然に天皇にあり(国家と天皇が同一と考えたほうが解りやすいように思われる)、国家それ自身が維持・発展していくことが、国家の目的そのものである。
国家主権の考え方によれば、国民は国家の構成要素の一つであり、土地などと同様に必要であれば、国家が自由に利用し、国家に貢献することこそが国民の最大の義務である。
欧米各国と同様に国民主権を基本とする戦後日本の体制とは、全く基本原理が異なる体制である。

国家神道には、日本民族並びにその国家体制が、他の民族や国家より優れているとの基本教義があり、結果として他国への覇権確立や軍事進出を肯定する帝国主義的性格を有していた。
民族の優秀性を指導原理とした、ナチスドイツのファシズムとの類似性が指摘される所以である。

その教義に従い、明治維新以降に台湾・南洋諸島・朝鮮へと領土を拡張していった大日本帝国だが、基本的な統治方針は同化政策である。
すなわち、血統としての日本民族の優秀性を否定しないものの、天皇を頂点とする神道教義、生活習慣、言語、果ては名前までをも、日本化していったことが、特徴的である。

そのために、支配地域には国家神道の神社が創建され、日本語教育が実施され、日本におけるのと同様の宗教祭祀が強制された。
特に地理的に隣接する朝鮮においては、創氏改名など強引な同化政策が実施されるとともに、強制連行などにより今に続く深刻な問題の原因を作ったのである。

国家神道と靖国神社

国家神道体制は、義務教育・徴兵制軍隊・地域活動を通じて、国民の思想や行動を統制する総合的なシステムであった。
その中で、特に重要な位置を占めたのが靖国神社である。国家への死を持って最大の美徳とする国家神道において、その死者を神格化し祀るのが靖国神社である。

国民の価値感を、国家神道の価値観と一致させる為にも、靖国神社の祭祀に最高の価値を与え、国家の責任で丁重に祀ることは最重要課題であった。軍が管轄する神社であって、別格官弊社の一つでありながら、何度も天皇が参拝をし、教科書においても、その重要性が特に強調されていることからも、それは明らかである。

国家神道体制において国民の多くは、国民(臣民)は天皇の為、その国のため良く働き、より良い国より豊かな国を造るべきであると教えられた。
一旦、国の危機となれば、生活もそして命さえも、天皇と国の為に捧げるべきだと教えられた。
もしその為に死すことがあっても、その者は天皇と同様に国の神となり、国を守ると教えられた。その神は、国により、そして国民(臣民)により、丁重に敬意を持って祀られるのである。
その祭祀は国により制度化され、さまざまな機会に国民はそれに参加する仕組みが作られていたのである。

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