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2006/04/18

日本が危ない:靖国神社問題の本質 6

靖国神社参拝を超えて

今回のテーマは、知識を確認しつつ記述するだけでも気持ちの沈む重いものであった。
このブログでは、問題点や課題を指摘するだけのものではなく、具体的対策を提案することを重視している。
この問題は、単なる靖国神社参拝だけの問題ではなく、国の指導理念や国民の権利にも影響する幅広い課題を含んでいることを改めて認識した。
まとめとして、いくつかの提言をしてみたい。

靖国神社公式参拝と戦死者慰霊

公人として靖国神社を参拝することは、禁止すべきである。
一方で、私人としての参拝は、信教の自由との関係で自由に認められるべきである。
公式参拝が禁止される公人の範囲及び期間は法律により明確に定められるべきである。

宗教法人である靖国神社を公式参拝することは、明らかに宗教行為であり政教分離原則との抵触は避けられない。靖国神社参拝を宗教行為ではないとすることは、政教分離原則を有名無実化する。

更に、戦前と同様に学校教育などに特定の思想信仰に基づく行事を導入する論理的根拠を与え、教育の中立性が失われる危惧さえある

政教分離原則自体を撤廃することは、例え可能性は低くても戦前の国家神道体制の復活の危惧を内外に呼び起こすものであり適当ではないことは言うまでもない。

「戦死者慰霊法」の制定

過去の戦死者の慰霊を行いたいのであれば、既に報告書が出ている国立慰霊施設(追悼・平和祈念施設)を早期に建設するべきである。
報告書は、国家神道体制の復活の危惧を除去しつつ、且つ信教の自由と抵触しないための施設のあり方を具体的に提言しており、評価に値するものである。
また、国の指導者の慰霊行為の場所・方法等は法律により明確に定められるべきである。
政府・行政機関が恣意的に行うことは不安定であり、不適当である。
国会において十分な議論を行い、恒久的に内外に方針を明示するためにも、法定化することが適当である。

将来の戦死者の慰霊の法制化

首相の公式参拝に固執する団体等のなかには、国のために国民は死すべきであるとの国家神道的発想を肯定し、国家神道体制の復興を図る意図が感じられるものが多い。
靖国神社への公式参拝の禁止を法律により明確にするとともに、将来の戦死者の慰霊方法についても法定することが望まれる。

憲法の規程如何によらず、現実に自衛隊が存在し、海外に派兵されている状況にあって、今後戦死者が発生したときの取り扱いを、現時点で明確に論議することは重要である。

一宗教法人である靖国神社での合祀如何に関わらず、国として慰霊方法を明確に定めることにより、靖国神社に関する国民的論議も深まることが期待できると考える。

「思想信条の自由法」の制定

国歌斉唱などが安易に規則や服務命令で強制されることがあってはならない。
憲法並びに法律に保障された権利が、下位の法規範により侵害されることが、日本社会において常態化しつつあることは問題である。
憲法上の思想信条の自由、宗教の自由を具体的に確保するための法律の制定が望まれる。
国民に認められる自由の範囲を定めるのではなく、国・地方公共団体・企業・施設管理者などに禁止されるべき侵害行為を具体的に定めた法律が必要である。
それによって、侵害を受けた国民が司法的救済をより的確に迅速に受けることが期待できる。

学校教育での愛国心そして国旗国歌

愛国心の定義は具体化されるべきである。
公明党が主張するとおり愛国心に現在の統治機構への服従の観念が含まれるべきではない。
国家神道体制下の教育において、愛国心が天皇崇拝と不可分であったこと、国歌斉唱、国旗拝仰が重要な儀式であった歴史に学ぶ必要がある。
国民の思想信条並びに信教の自由に抵触することのない、愛国心教育のあり方について、有識者間での検討などを通じて、幅広く国民的コンセンサスが形成されることが重要である。

※※※※※※※ 参考図書 ※※※※※※
靖国神社への公式参拝が続くなか、関連図書の出版も多くなった。
しかし、本質を理解しない著者による安易な扇動的著作も少なくない。
歴史的背景にも詳しい大江氏の一冊を特に推薦したい。

靖国神社

著者:大江 志乃夫
販売元:岩波書店
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