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2006/06/13

105円の本達:渡部昇一編「参謀の条件」

参謀の条件
渡部昇一編

「プレジデント」と言うビジネス誌がある。今は月2回発行で、ホワイトカラー系の会社の中間管理職クラスの仕事管理や部下管理のノウハウを特集することの多い雑誌である。
 バブル景気で日本型企業が全盛を迎えていた80年代まで、この雑誌は名前のとおり一流企業の重役や部長級を対象とした、帝王学を学ぶための雑誌として有名であった。今よりはるかに重厚な装丁なページを開くと、中国の古典「孫子」の解説や三国志の豪傑達、戦国時代の武将など、傑出したリーダー達の生きざまや哲学、組織運営の妙などを説いた記事が満載であった。
 その定番記事の一つに旧帝国陸海軍の将軍や参謀の伝記があった。80年代の企業のトップの多くはまだまだ戦争を知っている世代であり、目標とする人物像として第二次世界大戦の英雄達はもっとも身近な存在だったのである。
 この本は、80年代半ばに掲載されたそんな伝記を再構成したものである。題名からは「参謀」という職務の科学的分析書を想像するが、内容は名参謀と言われた軍人達の単なる伝記集に過ぎない。
 改めて考えてみると、現在のビジネスマン、特に管理職以上の人々が目標とするべき魅力あふれるリーダー像を具体的に想定することが出来なくなって久しいように思う。戦後に生まれた世代にとって、高度成長の日本を支えた特定のリーダーをイメージすることが出来ないのは大きな不幸である。戦後日本には、政治家にも、経営者にも、学者にも、だれもが納得できる100年後にも伝説となりうるような「優れたリーダー」がいないのである。
 昨今の若手経営者達の人間像や哲学、ビジネススタイルに「品格」がないのは、そんなことが影響しているに違いない。

参謀の条件
渡部昇一編 プレジデント社

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