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2006/08/13

日本が危ない:「戦争の日本近現代史」

戦争の日本近現代史―東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで

歴史を学ぶとき、よく注意していないと陥りやすい誤りがある。歴史は過去の出来事であり結果を知っているために、その原因があまりにハッキリと見えてしまうことである。そのため、時として歴史を学ぶことが、過去の人々の愚かしさを再確認するだけに終ってしまうのである。
歴史は、その時代に生きる人にとっては現在そのものであり、将来には無数の可能性があり、どの将来が「歴史」となるかは、まさに今の選択にかかっている、と言うあまりに当然の事実が忘れられてしまうのである。

多くの日本人が太平洋戦争を語るとき「なぜあんな無謀な戦争を行ったのか」「もともと勝てるわけがない戦争を始めたのは愚かだ」など、悲惨は結末を知るが故の批判をすることは、その例に他ならない。

客観的な事実はともかく、明治維新から連戦連勝を続けてきた大日本帝国にとって、政府や軍部はもちろん一般国民にとっても「アメリカと戦うこと」は、今我々が考えるほど非常識でも無謀でもなかったのである。真珠湾攻撃を皮切りにした緒戦の勝利に国民は歓喜し、その決断を賞賛する国民は多く、その愚かさを指摘する声は無いに等しかった。(マスコミが権力に統制されており、国民の自由な言論が権力の弾圧により不可能であったとの指摘は必ずしも事実と一致していないように思う。)

歴史を過去の視点から見て、その時点でどんな選択肢があり、未来から見ると時に愚かなその選択が行われたのかを分析する。それが「戦争の日本近現代史」の著者の意図に他ならない。当然でありながら忘れられがちな明確な視点を持って、明治維新後の日本の歴史を見直してみると、予想もしなかった発見がある。
詳しくは、ぜひ本書をお読みいただくとして、素直な感想はこうである。
「日本の政治家や軍人は思ったよりもずっと賢明で、正しい選択をしている。」

人は「未来」を知ることはできない。人が選択するときの貴重で唯一の基準は「過去」なのである。そして、そこに歴史学本来の必要性と目的がある。
「過去」により行う「今の選択」が「未来」を造りあげる。そんな当たり前の事実を、本書は気づかせてくれるのである。


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著者:加藤 陽子
販売元:講談社
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