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2007/01/16

BraveBook:D・A・ノーマン「パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう!」

パソコンを隠せ、アナログ発想でいこう!―複雑さに別れを告げ、“情報アプライアンス”へ

D・A・ノーマンは、認知科学と言うあまり馴染みのない分野の専門家である。
彼の優れた著書「誰のためのデザイン?」は、その専門分野の概要を示しているが、いずれ改めてご紹介したい。
認知科学の主要課題は、使いやすいくするにはどうするべきか。間違いを生まない為にはどうするべきか。など人間の認識の特徴を踏まえて、ハード・ソフトをどう設計するかを研究することにある。
至ってセールス的な観点から決定されたと思う邦題だが、原題は THE INVISIBLE COMPUTER  Why good products can fail (見えないコンピューター なぜ良い製品が失敗するのか)である。
内容は、ハードウェアとしてのパソコンの問題点や改善点はもちろん、その開発組織や他の工業製品の問題点など多岐にわたっている。
変化の早い分野ゆえに、6年前の著書ならではの古さを感じさせる点もあるが、その指摘するところは今なお重要である。
逆に言うなれば、この著書の重要な指摘が実際にはほとんど生かされていないことに他ならない。
機械に人が合わせるのではなく、人(の特性)に合った機械が必要であるとの、D・A・ノーマンの一貫した主張は貴重であり重要である。

今年、ウインドウズの新OSビスタが久しぶりにリリースされる。
残念ながら、この新OSはパソコンを革新するものではないようである。
パソコンは相変わらず不自由な道具である。
現在のウインドウ型OSは、例えるなら「立ち入り禁止の窓付実験室」のようなものである。
ウインドウ型OS誕生前、パソコン(汎用コンピューター)はガラス窓もないブラックボックスで、コンピューター専用言語で書かれた「注文書」を投げ入れると、結果を「投げ返す」だけの装置だった。(パンチカードに打ち込んだプログラムを読み込ませ過程は、例えではなくまさにそのものだった。)

そこに、小さいながらも窓が付けられ、不自由ながらも遠隔操作が可能なマジックハンドが付けられたのは、確かに画期的であった。
それによって、汎用実験室でいろいろなことが、ずっと楽にできるようになった。
それから四半世紀、実験室は広くなり設備もよくなりマジックハンドも多少は便利になったが、本質的な変化はない。それが残念である。
ガラス窓越しに遠隔操作することをやめ、実験室に入って直接手に取って実験することが次の段階のはずだが、その実現はまだ遠いようである。

この本に散りばめられたヒントは貴重である。
汎用実験室から専用実験室へ。遠隔操作から直接操作へ。それを情報アプライアンスと名付けて提案している。
ここ数年のハードウェアの進化を踏まえると、本書に例示される以上の可能性を感じる提案である。

パソコンは汎用であるが為にOS(オペレーションシステム)が不可欠であるが、実際はエクセルやワード、パワーポイントなど数種のビジネスアプリケーションのみを利用することが多い。
利用者はアプリケーションプログラムを操作しているのであって、OSそのものが必要なわけではない。印刷や保存などアプリケーションプログラムによって提供されている機能がアプリケーションプログラムと一体的に機能することはあるが、使用者が基本的に必要とされるのは、その目的に応じたアプリケーションを操作する能力である。

こう考えると解りやすいかもしれない。現在のパソコンは、スピードレース・ラリー・オフロード踏破、あげくは土砂運搬から道路工事まで使用可能な「超万能自動車」のようなものになっているのである。
その結果、ごく普通の道路をごく普通に運転するだけの人々には不用な、過大で重厚なエンジンと足回り、車体強度が付加されることになるのである。
普通に使うのには必要のない装備が満載される結果、取り扱いが不便で、極めて燃費の悪い車を維持しているようなものである。

単にエクセルやワードを使うだけのユーザーにとっては、それに特化されたハードとソフトが一体となったアプライアンス(もはやパソコンではない)が便利で合理的なのである。

エクセル専用アプライアンス、それはこんなもののはずである。

大きさはA3版程度、新聞一面位の大きさでお馴染みの升目が一面に浮かび上がっている。厚さは厚紙程度、自由に折り畳んだり丸めたりできて、紙と同じように取り扱える。
使いたいときは、紙と同じく机に広げて使う。テンキーやキーボードはない。正確には任意の位置を指定することでソフトウェア的にシート上に浮かびあがる。
関数や数値は従来どおりにキーボードで入力しても良いし、専用ペンで直接書きこんでも良い。
データファイルの保存は、無線接続された共有ディスクに直接保存される。既存のファイルの呼び出しも同様である。印刷も無線接続ネットを経由して行う。
機能を提供する電子回路はチップ状ではなく、シートに直接プリントされている。駆動用電源も同様だが、誘電システムで常時充電される。

エクセル、ワード、パワーポイントなどアプリケーション毎に、操作体系が統一された別々の専用のシートが提供され、好みによって大きさや機能が選択可能である。必要ならば作業内容ごとに複数のシートを使いわける。

個々人の机上は、折り畳んだシートを収納する小振の本棚だけがあって、一昔前のように広々としている。
決して現在のように巨大なパソコンと作業空間を圧迫し、一日中モニターを見つめていることはない。

アップルのiPhoneシステムに期待したい。
ストレージ機能やプリントなどの拡張機能をパソコンから分離して、大容量高速通信により提供するロジスティック環境が整備される。

今回発表されたiPhoneデバイスと同様に、そのロジスティック環境と有機的に連携して機能する専用アプライアンスが可能となるからである。

単一アプリケーション毎の電子ペーパー型アプライアンス。

iPaper for Exel      iPaper for Words ........

早くこんな時代になってほしいものである。



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著者:ドナルド・A. ノーマン
販売元:新曜社
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