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2007/03/03

105円の本達:猪瀬直樹「ミカドの肖像」

ミカドの肖像

今や評論家・文化人のように扱われることの多い猪瀬直樹の出世作です。
ジャーナリスト猪瀬直樹の実質的なデビュー作と言ってよいでしょう。
初版時に600ページ以上もある分厚い一冊です。
随分以前に読んだのですが、ほとんど記憶に残っていなかったのであらためて読んでみました。
内容は天皇と皇族を共通テーマにした諸々を扱ったレポートです。
プリンスホテルの敷地は終戦時に堤康次郎が「裏技」で購入したことや、明治天皇の肖像と広く思われているものが実は西洋人が描いた油絵であって全然本人と似ていないことなど、いくつかの興味深いものはあります。
しかし、それだけです。
天皇をテーマとしたオペラや日本風景論など、そのほとんどは大して価値も無い膨大な資料の「抜き書き」と「引用」であって、改めて読むに値しないものです。インタビューや聞き取りも表面的で解釈も恣意的です。
優れたジャーナリストであれば、その膨大な資料から帰納的に何らかの識見や隠された真実を描き出すことに成功するはずですが、この著書に関しては単なる羅列が延々と続くだけで正直『がっかりだよ!』なのです。
徒に小難しい文体や表現で取り繕っても、その内容の希薄さは隠すことはできません。
道路公団改革でその力量と限界をみせた猪瀬氏は、残念ながらジャーナリストとしても著述家としても一流ではないのでした。

初版からすでに20年。
西武帝国は崩壊し、原宿の国土建設本社ビルも解体されありません。
原宿の皇室ホームが利用されなくなって久しく、丸の内には超高層ビルが林立する21世紀の今。この一冊にどんな価値があるのか?
同時期の田中康夫の世相を鋭く切取ったコラムに価値を見出すのは私だけではないように思われます。

ミカドの肖像 ミカドの肖像

著者:猪瀬 直樹
販売元:小学館
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