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2007/03/15

政策対話編:続続続続続・税制改革について

いや〜長かったですね。
ここまでお付き合いくださった読者の皆様に感謝(笑)

本当ですね。タイトルの「続」の多いこと。(笑)

「危ない刑事」を超えていますね。(笑)

しばらくしたら「税制改革リターンズ」とか(笑)

冗談はそのへんで、本論に入りましょう。
最後に、現代日本が資産課税に移行しなければならない理由について、お聞きしたいのですが?

最近、なにかと話題の団塊世代ですが、資産課税の必要性も実にここにあります。
ご存知のように、日本の人口構成は非常にイビツなものです。現時点での60歳前後が非常に多くて、40歳前にもう一山があり、それより若い世代はどんどん少なくなっているわけです。
最大の問題は、今まで所得税を支払ってきた団塊世代が、ここ数年、遅くとも10年のうちに所得がなくなって年金を貰う年齢になることです。
年金問題とは、まさに団塊世代に払う年金財源の不足にほかなりません。本来、一人ひとりで収支が均衡すべき年金が、制度設計のずさんさから支出超過になってしまうのです。
今のままでは、団塊世代の退職によって所得税を中心とする税収が大幅に減少する一方で、団塊世代への年金や福祉給付のために財政支出が激増することは不可避なのです。
そこで、資産課税が必要だと考えるわけです。

具体的にはどう言うことですか?

今のままでは、減少していく勤労者で増大する支出を賄うことになりますから、勤労者、特に一般のサラリーマンへの所得税は際限なく増加せざるを得ません。
すでに多くの一般サラリーマンの税率は20%となっていて、年金財源となる社会保険料負担を加えれば40%を超えているわけです。
つまり、一年間働いて稼いだ金額の約4ヶ月分が「広義の税金」として徴収されています。
それが、更に増えることは、国民の勤労意欲を削ぎモラルハザードを招くことが、真剣に危惧されます。

確かに1年の半分を税金を払う為に働きたくはないですね。江戸時代の農民より悪いかもしれないですよね。

一方で、経済的に成功した日本全体として保有している資産は莫大です。
バブル当時には、日本の資産でアメリカ一国を買ってもお釣りが来るとまで言われていました。
その資産の多くは、企業が外国債券などの形で所有していますが、国内資産についていえば、国民個人も相当程度保有しています。
なんといっても金額的に大きいのは土地家屋です。バブル崩壊によって随分と目減りしたものの、世界的にも特異なほど高価格の土地が、国民の資産の中心なのです。
そして、その土地や家屋を圧倒的に所有しているのが、団塊世代にほかなりません。
その理由は、すでに述べたところですが、団塊世代が所有する固定資産と金融資産の合計は、国民個人の総資産の7割にも達するとの推計さえあります。
所得がなくなり、破綻に瀕する公的年金を受給をする団塊世代は、実は余生を送るには「余るほどの資産」を所有する世代でもあるのです。
勤労者や企業の所得への課税には限界があります。
重税は勤労意欲を削ぎ、企業活力を低下させ、国民と企業の海外移転を促進させます。これは、長期的にみて日本の為にならないことは明らかです。
この先数十年間続く財政支出増大の原因が明らかである以上、原因者である団塊世代に相応の負担を求めるのは、至って合理的です。
ちょっと聞くとひどいですが、理由があります。
すでに述べたように、団塊世代は、経済成長と人数の多さが幸いして税や社会保険料の負担が極めて少なかった世代なのです。
つまり、現在のままで改革をしなければ、団塊世代に限っては国との関係において「生涯収支が黒字」なのです。
資産課税を大幅に強化することで「収支均衡」にすることが、他の世代との関係における「正義」と言えると考えます。

団塊世代が読んだら激怒しそうな理屈ですね。(笑) でも、現在の20〜30歳代の「生涯収支」は明らかに赤字でしょうから、世代間で負担調整が必要なことは否定できませんね。少なくても、「生涯収支を均衡」させない限り、現在のニートやフリーター、年金未加入問題は解決できないように感じられます。

日本人は総じて学歴も高く有能ですから、損得勘定にも敏感です。江戸時代以降一貫して文化として「商人的」なところがあります。
戦後の高度成長期を通じて、国民であってサラリーマンであることが、自分自身にとって「得」であったからこそ、勤勉に一生懸命働いてきたように思います。それは、日本民族の本質的属性ではなく、ここ数十年の「損得勘定の結果の選択」であったと思うのです。
国民は、この長引く不況と企業システムの崩壊、財政の破綻などを国の官僚が思っている以上に客観的に観察しています。
その損得勘定の結果は、世代毎に大きく異なっていることが重要です。
特に不確定要素が多く、現実問題として選択の自由度が高い若い世代が、どう損得勘定するかをもっと真剣に考えるべきなのです。

団塊も世代も損得勘定をしてきたのではないですか?

現在の税制改革や年金改革を主導している団塊世代には、国民個人が損得勘定しているとの認識が希薄なように思います。
団塊世代は、戦後の経済成長を主導した世代ではありません。
もう一世代上の世代が描いた戦後日本の設計図に従って、ひたすら働いてきた世代なのです。その設計図は優れていて、成功しました。
結果として団塊世代は、損得勘定をして人生を選択する必要のなかった「幸福」な世代でした。
男性は、良い大学に入り大企業に入社して出世する。女性は、そんな男性と結婚して幸せな家庭を築く。団塊世代に限っては、そんな単一の理想像を共有できる「幸せさ」を持っています。
したがって、今や政治や行政を主導する年齢になった団塊世代にとって、自らの子供や孫の世代が、反旗を翻して国を見捨てるなど、全く想像ができないのではないのでしょうか。
与野党問わず団塊世代に有力政治家がいないのは、偶然ではないように思われるのです。

すなわち、若い世代が「損得勘定」した結果として、この国に住み続け働きたいと思うような国の未来像を示さなければならないということですか?

特に現代の若者に限ったことではありませんが、若い世代とは常に革新的で合理的存在です。団塊世代自身もかつてはそうでした。
若者は、長い人生をどう生きるかを考えて、最も有利な選択をするものです。
サラリーマンになることが最も良ければそうするし、海外に移住して創業するのが良ければそうします。
若者は、そう考え、そう出来る自由があります。
家族があり、子供があり、家のローンがある中高年にはない自由があるのです。
その若者に「夢」を提示できない国家に未来はありません。
その意味で「夢」を語らず「危機」ばかりを語る、現在のこの国の官僚は「失格」です。そしてそれは、年功序列を基本とする官僚のトップが、団塊世代であることと無縁ではないと思うのです。
政治の主役の「松明(たいまつ)」は、団塊世代から10歳は若い安倍総理の世代に、団塊世代を飛び越えて渡されました。
同様に、日本国最大のシンクタンクであり頭脳である霞ヶ関官僚群も、一気に世代交代をしなければならないようです。

「損得勘定」で得をする世代が残り、損をする世代は国を捨てる。そんな国は存続自体が危ぶまれますね。

どの世代にとっても「損得勘定が均衡」している国家の将来像を早急に構築しなければなりません。
繰り返しになりますが、それを明示できなければ、若い世代を中心とする国民と合理的行動を基本とする企業は、この国を見離して「海外逃亡」するに違いないと確信します。

「損得勘定」がわかれるのは、だいたいどの位の年齢なのでしょう?

今後の経済情勢など流動的な部分も少なくありませんが、現在60歳前後の団塊世代以上が「黒字」で、あとはすべて「赤字」なのではないでしょうか。
ただ、30歳代後半以上の国民は、家庭があったり、会社で相応の地位に居たりと失うものも多いだけに、現実的には国を捨てる余地は少ないですね。
すなわち、国家との損得勘定だけではなかなか、海外移住して一から出直すわけにはいかないように思います。このままでは、現在の40〜50歳位の国民が「最大の被害者」となる可能性が高いですね。

「損得勘定」は確定しているのですか?

今回提案している所得課税の全廃と資産課税の強化で、各世代の「損得勘定」すなわちバランスシートを将来にむけ大きく変えることができます。
そんな観点からの税制改革論議が、もっと真剣になされなければいけません。
税制を目先の利害得失で論じると「国家百年の大計」を誤ることになります。
今のままでは、若者と企業が海外に流失して、少子高齢化が一層深刻化せざるを得ません。
そこに、母国で「損得勘定」で大きな損をしている外国人ばかりが流入して日本そのものが「別の国」になってしまうことさえ危惧されます。
まさに「領域としての日本」のみが存続し、国民・主権・領土で構成される「日本という国家」が「滅亡」してしまうのではないかとさえ思われるのです。

別論でも指摘していましたが、「政治家よ、夢を語れ」ということですか?

そうです。
「夢物語」や「夢想」ではなく、しっかりとした裏付けのある「将来の夢」を国家の責任で、若者に対して示さなければなりません。
「夢」は、漠然とした「美しい国」などという「標語」ではありません。
そもそもが「美しい国」は具体的イメージが収斂せず拡散してしまう性質の言葉です。語感の良さ以上の意味を持たない用語は政治には不適当なのです。
だれにとっても具体的にイメージができる明確な国家ビジョンが提示されるべきなのです。
つまり、具体的な政策体系であって、しかもそこ「夢」がなければなりません。
もちろん、税制改革にも「夢」を語ることができます。
世界の先進国のどこも実現できない「所得税のない国、日本」
個人の努力と成功の象徴である「資産への公平な課税がなされる国、日本」
国民を信頼し活力を最大化する為の「先進国最低水準の租税負担率の国、日本」
そんな国なら、若者が流失しないだけでなく、世界中から日本に移住したい人が殺到するに違いありません。

税制改革には「夢」がなくてはならない。税制改革は「未来の夢」の一部に過ぎないということですね。
随分長くなりましたが、そろそろ本論を締めたいと思います。最後になにか一言を。

未来に「夢」があれば、人は結婚し子を産み育てるものです。堅実で確実な明るい国の未来の設計図を公開することこそが、最大の少子化対策なのです。
たかが税制、されど税制です。
税制を制度論としてのみ論じるのは誤りです。
理想の国家像を想定した、大きな政策体系の一貫として税制論議をしていかなければなりません。
「国家の未来像」は抽象論ではなく、ひとつ一つの政策の総体として具体的に構築されなければなりません。

残念ながら、税制について適当な名言を知りませんので、建築界の名言で締めくくりましょう。
偉大な建築とは何かとの問いへの答えです。

「神は細部に宿る」

建築は大建築であるだけでは名建築ではない。それを構成する部材の細部や造作が優れていてこそ名建築である。
税制改革に通じるものを感じます。

本当に長いあいだお付き合いいただきありがとうございました。

ありがとうございました。
読者の皆様もありがとうございました。
本論は、左側の「政策原論」で通読いただけます。
ぜひご意見・ご感想などお寄せください。

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コメント

はじめまして。

素晴らしい!

素敵です。

「資産への公平な課税がなされる国、日本」

「消費への公平な課税がなされる国、日本」

「神は細部に宿る」

PROUT(プラウト)を
実現したい私にとって
素晴らしい話
ためになる話になりました。

今後とも宜しくお願い致します。

以上 合掌

投稿: スピリチュアルの大切さに目覚めたIT技術者 | 2007/03/15 23:11

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