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2007/07/26

07参院選:隠された争点「大増税」

「行財政改革」そして「徹底的な歳出削減」が予想通り頓挫した現在、消費税率の引き上げはもちろんあらゆる増税策が選挙後実施されることはほぼ確実です。
唯一、増税が凍結される可能性は、与党=自由民主党が徹底的に選挙に負けた場合だけだと断言できます。

安倍政権発足直後の税制論議を覚えているでしょうか?
小泉政権の企業優遇・勝ち組優遇税制を基本的に踏襲して、法人税などの税率削減、投資促進優遇税制の延長、そして個人所得税の大幅増税と消費税率の引き上げが具体的に示されていました。

その後、参議院選挙への影響が危惧された結果、具体的な検討も増税を示唆する発言も徹底的に避けてきた結果、税制論議は今回の選挙の争点から忘れられてしまったかのようです。

国民生活に決定的に影響するにも関わらず、日本において税制を変更操作することは、毎回のように至って技術的に処理されてしまいます。
一たび関連法案が提案されれば、実質的な討論さえ行われないまま、財政当局の法案がそのまま可決されるのが通例です。
野党の反対も形だけの「審議拒否」「採決欠席」ばかり。
確かに技術論に偏りがちな税議論ですが、与野党議員の不勉強は目にあまるものがあります。

例えば地方への税源委譲に伴う「所得税減額、住民税増額」ですが、財政当局の「増減同額で総額は変わらない」との説明が、まったくの嘘であることさえ、議員の誰として解っていませんでした。
更に財政当局は「税源委譲による分は同額であり、増税となったのは定率減税が廃止されたため」と補足説明しますが、まさにその分を含めた税負担の増減こそが国民が知りたいことだとわかっているだけに、意図した悪意を感じるのです。

しかも、この税源委譲のドサクサに紛れて住民税制の基本が変更されたのに気がついたでしょうか?
戦後一貫して高度の累進構造となっていた所得税の最高税率が極めて大幅に引き下げられる一方で課税最低額が引き下げられて、所得税の累進構造が緩和されたのが小泉政権での税制改革の最大の特徴ですが、安倍政権下では住民税の累進構造が「廃止」されてしまいました。
これまで、所得に応じて複数の税率があったものが、今回改正で一律10%となり1億円の所得があっても400万円の所得であっても税率が同じになりました。
ほとんど話題にもならなかった変更ですが、格差拡大を是認した小泉政権でも実現できなかった徹底した「平等主義」がまったく技術論として実行されてしまったのです。
その結果、税源委譲による所得税・住民税の配分変更は、高額所得者はトータルで減税、低所得者はトータルで増税となったのです。

その他にも、相続税の低減や事業譲渡に関する特例などによって、高所得者・資産家・事業主は減税に、ごく普通のサラリーマンなどは増税になっています。

これら全ては小泉=竹中ラインの「富の集中による企業活力増加政策=自由主義的小さな政府」方針に沿った改革に他なりません。
結果として、日本はバブル崩壊後の長期不況から脱出の手がかりを掴むことに成功したことは素直に評価しなければなりません。
しかし、一方で戦後日本が築き上げた社会主義的でさえある経済的平等社会が崩壊し、所得格差の拡大による社会不安そして福祉制度など社会システムさえもが崩壊しつつあることに、もっと注目しなければならないはずです。

この時点でなお、企業減税を通じて企業の投資意欲と事業革新を促進する必要があるのか?そのために不足する財源を個人所得税の増税や消費税の引き上げで賄うべきなのか?真剣に考えなければなりません。

自由経済を推進尊重するアメリカ共和党の税制改革は参考になるでしょう。
基本的に企業や個人の自由な経済活動を尊重し政府等による規制を最小化することが、米保守政党=共和党の基本政策ですが、その税制は微妙に日本と異なります。
累進構造の否定は同一で、企業に対する課税の引き下げも同一です。しかし、個人に対する課税も同様に「減税」それが真の自由主義的税制なのです。
法人も個人も減税し、不足する財源はどうするのか?
その答えは福祉政策を中心とする徹底した歳出削減なのです。
そして、税負担が軽減された企業と個人が活発に金儲けをし「国際的に勝ち組」になることで税収も伸びる。
それが、本当の自由主義的経済政策なのです。

日本はどうでしょう?
企業を減税して企業活力を高める。歳出を拡大し、元気のない企業に対しては補助金などを交付する。既得権益化した福祉支出は削減できない。歳出削減が不可能なので当然行政組織の削減もできない。公務員の削減や人件費も削減できない。
財政は危機的状況なので、相対的に余裕があり経済活性化にあまり役立たない中堅以下のサラリーマンは増税する。直接の増税感が薄い消費税は当然増税する。
これが、政府=与党が支持する財務省の税政策なのです。

ごく普通のサラリーマンの皆さん。これで良いのですか?納得できますか?

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