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2007/07/24

07参院選:隠された争点「共謀罪の新設」

多くの善良な国民にとって無縁のように思われる「共謀罪の新設」ですが、平和で自由な戦後日本社会の決定的に変えてしまう怖れがある危険な仕組みです。

「言論表現の自由」「思想信条の自由」は現行憲法で絶対的に保障されているにも関わらず、現実の政治社会での各種立法により多くの制限が設けられてきたのは周知のとおりです。
デモ行進を制限する公安条例、団体を規制する破壊活動防止法、テレビ放送等を制限する放送法などによって、憲法が保障した自由権の多くが規制されているのが現在の日本です。
そのような日本でも、個人が何かを考えたり話し合ったりすることは基本的に規制されていません。

共謀罪とは何か?
簡単に言えば、ある犯罪を「話し合うこと」を犯罪とするものです。
法案によれば3年以上の罪を2人以上が話し合うことが犯罪になります。

現行刑法では、話し合うことは犯罪ではありません。
例えば、ある人物を殺す方法を話し合っても、誰かを誘拐しようと話し合っても罪にはなりません。
その犯罪を実行しようとしたり、道具を揃えるなど準備をして、はじめて未遂罪に問われる仕組みとなっているのです。
もちろん話し合っている時点で罪として逮捕できれば、犯罪の予防に効果的であることは明らかです。
では、なぜ「話し合い=共謀」を罪としないのか?
それは犯罪予防の効果より、冤罪による弊害のほうが大きいことが歴史的に明らかになっているからに他ならないからなのです。

具体例をあげましょう。
犯罪に着手したり準備すれば「証拠=物証」が残ります。それは冤罪を防ぐためには重要です。
ところが「話し合い=共謀」にはその基本的性質ゆえに「物証」が残りません。証拠は「ある場所である人々が犯罪を相談していた」と言う証言だけなのです。
証言は不確かです。そして捏造は容易です。多くの無実の人々が、そんな証言だけで犯罪に問われ弾圧されてきたのが人類の歴史なのです。
その反省にたって、厳格な犯罪要件と裁判手続きが作られてきました。

古くは中世の魔女裁判、最近ではナチスドイツや軍国主義下の日本などで、為政者に反対する者を弾圧するため「証言による犯罪」が多用されたのです。

共謀罪が新設されても、何の犯罪を犯すつもりがなければ問題ないと多くの人々は考えるかもしれません。
しかし、現実には誰でもが共謀罪で逮捕される可能性があるのです。
その理由は、何を犯罪としどんな量刑とするかは為政者=政府=与党が時として恣意的に決めることが出来るからです。
犯罪とは殺人や傷害など明確なものばかりではありません。
例えば戦前の日本では、天皇の悪口を言えば不敬罪、天皇制国家や私有財産制を否定すれば治安維持法違反として重罰に処せられました。

もし、国会で多数を占める政党が「国歌を歌わないこと」や「神社に参拝しないこと」を3年以上の罪とする法律を作ったら(あまりに非現実的な例えですが)、国歌を歌わないことを話し合ったり、神社参拝をしないことを話し合うことは、共謀罪で罰せられることになってしまうのです。
より現実的な例では、国民年金の掛金やNHK受信料を支払わないことを話し合うことが共謀罪で罰せられるかもしれません。
つまり、時の政府の方針や決定に従わないことばかりか、従わないべきだと論じることだけでも犯罪になってしまうのが、共謀罪の真の危険性なのです。

しかも、共謀罪は政府や警察によって容易に捏造され冤罪をつくる危険性を本質的に持っています。
原発に反対する環境保護団体、ホワイトカラーエグゼンプションに反対する労働組合、国旗国歌を敬わない教員団体など、現行法では取り締まれない者に対して、なんらかの犯罪を共謀したと「言いがかり」をつけて幹部を逮捕することがないとは言えません。なにしろ物証のない段階で殺人犯人と思われる人物を別件逮捕してしまうのが常套化している国なのですから。

例え冤罪でも逮捕されてしまうと、その無実を立証するのが困難なのが共謀罪の怖さです。
警察の「複数の協力者」が綿密な打合せによって、辻褄のあった「共謀の事実」を証言したとき、それが「架空で事実無根」であることを反証することは、ほぼ不可能です。
なにしろ、共謀罪を立証するには「特定な時に特定の場所で話し合いがあった」ことの「証言」があれば足りますが、もともとない共謀の事実を「なかった」と証明することは全く困難だからです。
証言の矛盾を突く、アリバイを証明するなど反証の方法は限られます。しかも、事前に警察が「その時、その場所で話し合いがあった」ことを知っていた場合、「その犯罪を話し合っていない」ことは証明する方法はほぼ皆無でしょう。

国際テロ対策を口実に、そんな危険な共謀罪を新設する政府=与党の真の意図を疑わずにはいられません。
国際テロへの対応であれば、まずテロ犯罪のみを対象とする罪を新設し量刑を重罰化したうえで、その罪名に限定して共謀を罰する規程を整備すれば足りるからです。
何の事実がなくても、あらゆる個人や団体を恣意的に犯罪者として逮捕できる仕組みを作ってしまいたい。それが共謀罪新設の真の目的でないと言えるのでしょうか?

権力者に安易に「道具」を与えてはいけない。
それが歴史が教える教訓です。

自由で平和な日本を愛する人々なら、共謀罪の新設は断固拒否しなければいけません。

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