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2007/08/11

新献策十講:「国民の権利と自由の保護省」の創設

いわゆる小泉改革の影に隠れて注目されていないが、ここ10年間ほどの立法や行政の動向を改めて調べてみると、治安国家化が一貫して進行していることに気がつく。
一般の国民の側から見れば、憲法で保障された自由権や社会権が各種の新規立法や法律改正によって制限されているのである。
アメリカの911テロ後は全世界的傾向になりつつあるが、日本におけるそれは戦前への回帰を想像させるものも多く、安倍首相の言う「戦後レジュームからの脱却=戦前の統制国家への回帰」を多くの知識人に想起させる原因にもなっている。

「国民保護法」と言う名前の「戦時における国民の権利の制限法」を含む一連の非常法制の立法が代表的だが、ストーカー規制法・暴力団対策法・盗聴法そして共謀罪など一見すると特定の集団や罪状のみに限定されているように思われる自由制限法や行政への授権法も、簡単に対象者や罪状を拡大できる危ない立法である。これら一連の立法活動によって、主に警察機構内に整備されつつある治安警察の仕組みが、何かの切っ掛けで国民全体に対して猛威をふるい、戦前そのままの警察国家が再現しない保証はどこにもない。
特に時の為政者が国民の支持を失っても権力に固執するとき、警察力や軍事力を使った国民への政治的弾圧が強化されることは歴史の教えるところである。

ではどうすべきか?
国民の立場に立って、不当に国民に義務が課されたり、憲法が保護する権利が制限されたりすることがないようにし、新たな社会情勢の変化に対応し国民の権利を保護し拡充することを目的とする国家機関を創設するべきである。
仮に「国民の権利と自由の保護省」と名付けるこの機関の使命は
・国民の権利と義務に関して違憲立法や法律に基づかない侵害行為がなされないように常時活動すること
・憲法が保障する国民の自由権、社会権を実現するため、具体的な立法を行うこと
・新たに必要が生じた国民の自由と権利を立法により保障すること
にある。

すでにお気づきの方もあると思うが、それを行政権に属する一省庁とすることには法体系上問題があるだろう。
最も望ましいのは、国会に直属する司法権の一部も有した行政委員会であろう。もちろん独立した事務局を有し、委員は公選されることが望ましい。

行政委員会制度が根付くことなく形骸化している現状では、最高裁判所の付属機関とする選択や、会計検査院と同様の独立性の高い行政組織とすることもやむを得ないようにも思われる。

憲法の建前に関わらず、現代日本の実質的立法は中央省庁が分野毎に行っている。国会は、あくまで各省庁が立案した「法律案」を承認するかしないか(実際はほとんどを承認しているのだが)を決めているだけである。
その最大の問題点は、各省庁がそれぞれ特定の利益集団や省庁そのものの利益を最大化するために法律を立案していることにある。
経済産業省や国土交通省が立法の目的としているところは比較的解りやすいだろう。財務省や防衛省そして警察庁も目的を持って法律案を作る。
そこに問題があるのである。

財務省は歳入を最大化するため立法する。そのため、国民への増税は当然である。防衛省は国家の安全を確保したい。そのためにスパイ防止法を作るべきであり、自衛隊が自由に私有地を使い、協力しない国民を取り締まりたい。
警察庁は、治安に責任がある。犯罪を犯すかもしれない国民を早く捕まえて犯罪を防止したい。できれば犯罪の範囲を広げて警察官も増員したい。

そのような勝手の思惑が積み重なって、声なき国民の権利が制限され義務が増やされていくのである。

それを防ぐためには、積極的に「声なき国民」の権利を保護することを目的とする省を新設することが近道である。
いかに国民の権利を保護し拡充するかが「国民の権利と自由の保護省」の省益であり、評価基準である。
有能な「国民の権利と自由の保護省」の官僚は、自らの出世のためにも最大限の努力をするはずである。
その活動の結果は劇的であるに違いない。なにしろ、省益を支える利益団体は投票権を持つすべての国民なのだから。

自由民主党の支持基盤は財界・産業界・商工団体など幅広い。
民主党の支持基盤は一般に今やわずかな国民しか加入しない労働組合と言われている。
もし参議院第一党である民主党が、その躍進を実現させた幅広い国民の期待に応えて、真の「国民的支持を基盤とする政党」に成長するためには「国民の権利と自由の保護省」の創設を提案し実現するべきである。

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