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2007/12/01

BraveBook:村田裕之「リタイアモラトリアム」

リタイア・モラトリアム―すぐに退職しない団塊世代は何を変えるか

      

買ったきっかけ:
しばらく前から「生き甲斐」「団塊世代」「老い」「隠居」「退職」などをテーマに読んできたわけですが、最後の一冊として「リタイアモラトリアム」を選びました。きっかけは「この本の独特の視点が面白い」とある人から教えてもらったから。

感想:
この本は大きな本屋ではビジネス書の棚に並んでいます。帯にも「多くの事例をもとにシニアビジネスの方向性を提示」とあってビジネスのアイディアを示唆する書き方になっています。
でも、この本は「シニアビジネスの顧客=まもなく退職する人」が読んでも得ることが多い一冊なのです。むしろ、多くの企業や起業家がこの本が示唆するビジネスを始めてもられば、日本の老後はどんどん楽しくなると実感できるのです。

おすすめポイント:
高齢者にとって、日本の現状に何が不足しているのかが、具体的なサービスや施設そしてその背景となるコンセプトまで含めて示されています。キーとなるのは知的興味。その核となるのが大学であるとの指摘は新鮮です。
ところで、この本を読んで感じるのは日本における「プロデューサー」の不足です。人々の潜在的なニーズを把握して、さまざまな企業や個人を組み合わせてシーズ(供給)を創出する能力がある人材です。映画や演劇やテレビの世界では定着している仕組みが、公共的分野や街づくり分野では受け入れる仕組みから不在なのが現代日本の不幸だと思うのです。そのような人材は確かにいます。しかし、その人材が正当に評価され地位を確立することが不可能なのが現代日本だと思います。
経済振興での元通産官僚の堺屋太一氏はその数少ない成功者でしょう。政治でその方向を目指したものの失敗者となったのは大前研一氏。彼の政治改革の秀逸なアイディアはついに実現することはありませんでした。
優秀なプロデューサーは得難い貴重な資源です。そのような人材が正当な社会的評価とそれに見合った報酬を得られる社会が実現しなければいけないのでしょう。
ごく最近まで、日本でその役割は霞ヶ関官僚システム。すなわち、名もなき無名の高級官僚達が担っていたと考えます。官僚が社会的使命感を喪失しつつある今、日本は危機的状況に直面していると改めて認識しないといけないでしょう。

リタイア・モラトリアム―すぐに退職しない団塊世代は何を変えるか

著者:村田 裕之

リタイア・モラトリアム―すぐに退職しない団塊世代は何を変えるか

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