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2008/01/07

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -ガルマ編-」

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編








愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編

      

買ったきっかけ:
2回連続のガンダム話。いつもこのブログをお読みいただいたいる読者に皆さん、ついて来てください!
ちなみにファーストガンダムに熱中しているのは30歳〜40歳位の男性に多いようです。ガンダムアニメに熱中するには早く生まれ過ぎた筆者が、客観的に読んでも価値があるのが安彦良和氏の「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」なのです。

思えば「前ガンダム時代」はロボットアニメの停滞期であり迷走期でした。記憶にあるのは再放送の鉄腕アトムや鉄人28号。要するにロボットが戦っている以上のものではないマジンガーZシリーズなど。
鉄腕アトムで人間と対等の新たなロボット像が創造された後「悪と戦う」とのテーゼのもロボットは巨大化し戦争の道具化していきました。ビックX、レインボー戦隊ロビン、そしてマグマ大使などの特撮へと。
もはや理由も必然性もなく平和な地球を脅かす敵が現れ、正義の味方の巨大ロボットが平和を守る。ガンダム誕生前、それがロボットアニメの絶対的必然となっていました。

今や完全に世間に認知されているオタク少年であるアムロ・レイの登場。それは衝撃でした。正義漢でも熱血漢でもない普通の少年が操縦するロボットが、ごく普通の兵士が操縦する敵のロボットと戦闘する。いずれもが善でも悪ではない戦争の現実。味方の兵器は圧倒的でなく必勝でもないリアルな戦闘。
皮肉屋で反権力的なカイ・シデンの存在、それもまた衝撃でした。アムロに翻弄される艦長代理ブライトの苛立ちが新鮮でした。
ブライトやハヤト、ミライ・ヤシマなど、従来型の明確なキャラ設定の登場人物もまた多いのですが、それが当時のテレビアニメの限界だと言うことだったのでしょう。

ガンダムで育った新世代のクリエーターが制作した「新世紀エヴァンゲリオン」や「攻殻機動隊」の世界では、もはや登場人物は現実の人間同様に複雑で控えめで「ごく普通の人」ばかりです。わずか20年。日本のアニメはすでに超現実的設定のなかの「リアルな現実」の描写に到達してしまったのです。
鉄腕アトムにシンパシーを感じる世代にとって、ファースト・ガンダムは生理的に許容できる最後のアニメなのかもしれません。

感想:
大気圏突入に成功したホワイトベースを迎撃するガルマ・ザビ。本拠地は西海岸ロサンゼルスに設定が変更されています。アムロの母との再会と別れ。ガルマの特攻と死。アニメで人気の高かった場面が次々と展開します。
ガルマ編は比較的原作アニメに忠実です。

おすすめポイント:
リード大尉の小人物ぶりが強化されブライト艦長との軋轢が明確になったことで、アムロへのブライトの強圧的な態度の背景がはっきりしました。誰もが思ったアムロへの平手打ちの理不尽さ。もっとも所詮は八つ当たりなのだからブライトの不人気は不動です。
ガンダム発進の際のアムロの細かな指示「方バルトは低圧で!艦首はもうすこし右にむけてください」「前方への対空砲火止めて!!当たっちゃうでしょ!!」こんな台詞の追加で、アムロの性格描写や状況のリアリティがずっと増しているのです。
ジオン軍が接収しているハリウッドの高級ホテルの贅沢な空間や旧支配層との共存は、パリを占領したナチスとビシー政権を彷彿させ、ガルマと令嬢との恋は古きハリウッド映画の一場面そのまま。本編の主役ガルマは、わがままさ、人の良さ、自信家、熱血漢など良い意味でも悪い意味でも「お坊ちゃま」ぶり満載です。
束の間の休日、母親に会いに「私用」で戦闘機で出かける不自然さはさすがに修正されて軍用車に。ついでにインディージョーンズばりの大追跡劇が追加されています。
そして壮絶なガルマの特攻。その直後にガルマの死を令嬢に告げるエッシェンバッハ市長が突撃隊に射殺される場面を追加することで、デギン・ザビが杖をとり落とすあの名場面を一層印象深くしているのです。
ちなみにファーストガンダム一番人気のマチルダ中尉もミデア輸送機とともに初登場です。

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編

 

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