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2008/01/27

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -ルウム編・後-」

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (14) (角川コミックス・エース (KCA80-17))

      

買ったきっかけ:
ルウム会戦から停戦会議、レビル将軍奇跡の脱出と初めて明らかにされる伝説の物語。
密度の濃い一冊です。

感想:
ドズル・ザビに指揮されたジオン軍、そして初めて実戦投入されたモビルスーツが連邦主力艦隊を撃破した伝説のルウム会戦から物語は始まります。宇宙空間を縦横に機動するモビルスーツはそれまでの常識を覆して重厚で強大な火力を誇る宇宙戦艦を撃沈していきます。旗艦を撃沈されたレビル将軍は黒い三連星により捕虜となります。
ザビ家のギレン・キシリア・ガルマそして公王の微妙にすれ違うそれぞれの思いが、連邦との停戦交渉を決裂させ、レビル将軍の脱出を生み、ガルマを戦闘の最前線に向かわせます。
脱出するレビル将軍とシャアとの偶然の接触、その背景を瞬時に察しあえて見逃すシャアの見事な政治センス。
ドズルによるシャアへのV作戦阻止の命令が下され、まだ平和な日々を送るアムロとその仲間達、偶然にサイド・セブンを訪問したヤシマ・ミライ、そして一人憂い顔で連絡船内のセイラと、ガンダムの物語を織りなす人物達がサイド・セブンに集合していくのです。

おすすめポイント:
とにかくTHE ORIGINのドズル・ザビは「いい奴」なのです。
勇猛果敢にして人情厚く部下の信望を集める好人物です。
緒戦、撃破される僚艦の報告に涙し、最前線で檄をとばす。末弟ガルマのわがままに困惑しつつも面倒見よく希望をかなえてやっています。
そしてマ・クベ中将。ただの「壷オタク」呼ばわりされてきた変人将軍も、しっかりと地球至上主義者としてキャラが再定義されなおされ、停戦交渉の責任者として重要な役割を与えられています。
その思想が明らかにあることで、なんとも不可思議なマ・クベ中将の言動の謎が明らかになるのです。
それにしても、マ・クベとキシリアの密約によってガルマの地球行きが決定したとは!
登場人物がさもありなんと考え行動し、だれもが納得の予定調和的結果を生む。これぞ安彦マジックなのでしょう。

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (14) (角川コミックス・エース (KCA80-17))

著者:矢立 肇,富野 由悠季,安彦 良和

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (14) (角川コミックス・エース (KCA80-17))

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2008/01/19

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -ルウム編・前-」

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)

      

買ったきっかけ:
開戦とともに電撃戦を勝利したジオン軍。悪魔の作戦といわれるコロニー落とし、そしてルウム会戦へと物語は展開していきます。

感想:
シャアが戦艦5隻を撃沈し、レビル将軍が捕虜になるほど地球連邦が壊滅的敗北を喫したルウム会戦。ファーストガンダムで何回も語られることはあっても、その詳細は不明でした。
いよいよオリジンで全貌があきらかになります。
コロニー落としの現地指揮官は意外にもドズルでした。作戦を命じられるのはランバ・ラル。毅然と拒否するラルですが、それが原因で予備役に編入されてしまったようです。場面はジオンの作業がすすむコロニーに。自らの故郷であるコロニーを守ろうとする純粋な若い恋人達。その純真な心はあえなくジオンの毒ガスにより消え去ります。あのオープニングの印象的なコロニー落下場面がより現実味を帯びて描かれます。コロニーは分解し、連邦中枢であるジャブローを直撃することに失敗します。
ルウム会戦にカスタム仕様のモビルスーツで臨むシャアと黒い三連星の因縁めいた会話。医療ボランティアとして働くセイラの基に義父の心臓発作の知らせが届きます。懐かしいウエスタンコロニーに戻ったセイラを反ジオンの暴徒が襲います。義父を兄を失ってもはや一人となったセイラは、決心したかのように敢然と暴徒を撃退するのです。
ルウムの戦場に向かう兵士達。シャアのモビルスーツ隊によるルウムの奇襲。圧倒的な地球連邦の兵力の前にギレン・ザビが立案した逆転の秘策が実行されるのです。

おすすめポイント:
漠然と遠い宇宙の物語になりがちなコロニー落としが、そのコロニーの住民さらに二人の恋人のドラマを絡めることで、急に現実の物語になるのです。その悪魔の作戦の意味が、毒ガスにより殺害されるコロニー住民の姿を描くことで明確になるのです。
戦いの場に赴く兵士達。軍を統べる将軍、若き士官、一兵士、そのそれぞれを描きだすことで戦争の真実を実感あるものにしています。安彦氏の天才はそんなところにあるのでしょう。
ルウムから避難する宇宙船。これまでも度々登場しているジオン・ジオニック社の宇宙船は、どこかナチスドイツが世界に誇ったツェッペリン社の硬式飛行船を彷彿させるデザインで、追われるように避難する群衆は、ヨーロッパの迫害を恐れて大西洋を渡ったユダヤ人のようであるのは、偶然ではないのでしょう。
遠い宇宙の空想の物語にリアリティを持たせるレトリックとして実に優れた作画だと本当に関心してしまうのです。
登場人物の豊かな感情、そして過去の歴史の一場面を彷彿させる情景描写が、安彦漫画の真髄なのです。

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (13)

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2008/01/17

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -開戦編・後-」

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)

      

買ったきっかけ:
ジオン公国と地球連邦がいよいよ開戦。ギレンの大演説が表紙ですが、この場面が登場するのは次巻になります。
ララア、ミノフスキー博士、そしてカイ・シデンの知られざる物語が明らかになります。

感想:
除隊となったシャアは、地球でグラナダの建設現場にいます。不幸な境遇にあるララアとの偶然の出会い。ララアのシャアへの絶対の信頼と愛の始まりです。
ジオンのモビルスーツ開発の中心であった大物理学者ミノフスキー博士の月を舞台とした亡命劇。意図されたジオンモビルスーツと連邦モビルスーツの戦闘。パイロットとしてジオン軍に復帰したシャアと黒い三連星の活躍。ザクの圧倒的強さが開戦を決定づけます。
ミノフスキー博士の死。そしてテム・レイによる新モビルスーツ開発計画=V作戦の開始。すでにパソコンオタクに立派に成長したアムロも久々に登場します。
カイ・シデン。アムロの同級生にして不良。それでいて体制からはみ出すほどではなかったり、ちょっと弱気なところもあって、ちょっと魅力的な設定が印象的なのです。
最後にほんの数ページで描かれる開戦。宣戦布告後の電撃戦での圧勝。歴史を知る者はそこにナチスドイツ機甲師団の電撃戦を思い起こすのです。

おすすめポイント:
ファーストガンダムで描かれることのなかった開戦直前のジオンと連邦。そして、その後の展開上重要な人物達が一斉に登場するのが開戦編です。
幼くして遙か地球の裏側ブラジルに売られている超能力少女ララア。偶然とはいえシャアはララアを救うことで絶対的信頼を得ることとなります。後にそれは愛となりファーストガンダムの最終章の重要なテーマへとつながります。
そしてミノフスキー博士。どこかアインシュタインを彷彿させる容姿をした小柄な博士ですが、電磁波を無効にしモビルスーツの工藤原理でもある「ミノフスキー物理学」の全体像は未だ不明なのです。その理論が戦闘兵器であるザクへと具体化することで良心の呵責から亡命を図るところなど、どこか第二次世界大戦時に核兵器開発に反対した物理学者達を彷彿させます。
パソコンに熱中するアムロと世話好きなフラウ・ボウはTV版そのまま。「フラウ」が「おばさん」の意味とは知りませんでした。フラウの気持ちは淡い初恋なのだとよく描き出されています。
毎巻思うことですが、これだけ盛り沢山の物語を手際良く処理する安彦氏の手腕には脱帽です。

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (12)

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2008/01/15

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -開戦編・前-」

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (11) (カドカワコミックスAエース)

      

買ったきっかけ:
ジオンの士官学校に入学したシャー。ガルマとの出会いと邂逅。着々とすすむ地球連邦との開戦準備。またまた魅力一杯の物語です。

感想:
士官学校に入学したシャー、校長はあのドズル・ザビです。勉強も運動も抜群のシャー。勉強はともかく運動はもう一つのガルマ。お坊ちゃんゆえシャーに対抗心を燃やすガルマなのです。シャーの軍人としての非凡な才能がすでに発揮されています。行軍訓練でのある事件をキッカケにして2人は「無二の親友」(ガルマにとってなのですが)になります。
3年が過ぎ卒業を控えたとき、隕石の衝突からジオンと連邦の緊張が高まります。
シャーの提案でガルマを先頭に士官学校生による連邦駐留軍への武力攻撃が成功します。
熱狂する群衆、大パレードが行われます。
その責任をとる形でシャーは除隊します。

おすすめポイント:
天才は若いころからそうなのだ、という現実を実感する若き日のシャーなのです。
学問優秀・運動抜群のシャーは、文句なくカッコいい。
軍隊なき日本では実感しにくいことですが、士官学校エリートは文句なくカッコ良い存在なのです。
ガルマもお坊ちゃんながら、よく頑張っています。
2人のあまりに親密な関係はいま一つ不明でしたが、この1巻で納得です。
そしてドズル。
無骨でいて人情家。ちょっと天然も入っていて、実に憎めない良い奴なのです。後の愛妻ゼナとの出会いとプロポーズ、シャアを除隊させるときの一言一言などいい味を出しています。
ドズル・ザビがジオン公国のトップであったなら、宇宙世紀の歴史が違うものになっていたことは間違いないでしょう。

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (11) (カドカワコミックスAエース)

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (11) (カドカワコミックスAエース)

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2008/01/13

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -シャア・セイラ編・後-」

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10) (カドカワコミックスAエース)

      

買ったきっかけ:
後編は、幼きセイラをおそう不幸とシャア誕生の秘話なのです。ファーストガンダム最大の謎が明らかになります。

感想:
無事地球に到着しスペイン・アンダルシアの田舎で、マス家の養子となり束の間の幸せな日を過ごす2人。快活で明るい少女に育ったセイラは医療ボランティアを始めています。
打倒ジオンの夢を諦めきれないジンバ・ラルがアナハイム社幹部と会ったことが、その幸福な生活を崩壊させてしまいます。
キシリア機関の息のかかった暴徒がマス家を襲い2人の命を狙います。キャスバルの機転と機転で2人は助かったのもの、ジンバ・ラルは惨殺され義父ティアポロは重傷を負います。
友人ヤシマ氏(そうミライのお父さんです。)の薦めもあって、ティアポロはテキサスコロニーに移住を決意します。
そのころジオン公国では、モビルスーツの開発が極秘裏にすすんでいます。生き甲斐を失い若き日のハモンが歌う酒場で荒れるランバ・ラルをドズルが訪れます。ラルはモビルスーツの黒い三連星の3人とともにテストパイロットに新たな生き甲斐を見つけます。
テキサスコロニーの別荘を管理しているのがアズナブル夫妻。その一人息子がキャスバルと瓜二つのシャーなのです。
そんな2人に届く母の死。キャスバルはいよいよジオン家への復讐の第一歩を踏み出します。
シャー・アズナブルに成り代ることに成功したキャスバルはジオンの士官学校に入学します。

おすすめポイント:
父の暗殺、母の死、兄との別れと死。人は不幸に襲われ続けたとき感情表現を失ってしまうものなのでしょう。
クールビューティーとでも呼ぶべきセイラ。常に冷静沈着で無表情が印象的でどこか謎めいた美女なのですが、幼き日のセイラは、よく笑い優しい心の快活な少女。THE ORIGINを読みセイラファンは急増することでしょう。
不遇な若きラルと、それを支えたハモンの物語も、ラルの人柄をよく描き出しています。なんといってもドズルとの会話が秀逸。それぞれに信頼しあう「男」なのですが、ユーモアある一言が余裕を感じさせるのです。
この巻以降、ドズル・ザビの登場が多くなりますが、無骨な外見からは想像できない魅力的な人物像が明らかになっていきます。

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10) (カドカワコミックスAエース)

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10) (カドカワコミックスAエース)

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2008/01/11

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -シャア・セイラ編・前-

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(9)

      

買ったきっかけ:
いよいよ本編からアニメシリーズでは描かれることのなかったオリジナルストーリーが展開していきます。
いかにも説明不足の「赤い彗星」の出生と生い立ちの謎が明らかになっていくのです。
アニメ・ガンダムを知らない人が読んでも納得の素晴らしい出来なのです。

感想:
スレッガー中尉。ミライの初キスを奪ったチョイ悪兵士のセイラへのあの一言「あんた男のことで悩んでる相がでてるぜ」が物語を過去へと一気に遡らせます。
宇宙世紀0068、ジオン・ダイクンの死の年へと。
猫耳をつけた可憐なお嬢ちゃまのセイラ、半ズボンの三揃えの聡明そうなシャア。否、アルテイシアとキャスバルが登場です。後のジオン公国、ムンゾ自治共和国が舞台の物語です。ダイクンの死とともに、若き日のデギン・ザビ、ランバ・ラルの父で有力政治家のジンバ・ラル、そして美しきアストライアが繰り広げる政変劇。アストライアと幼い2人はランバ・ラルの手でラル家への避難します。途中で騎馬姿の勇ましきキシリアの応援もあって。ザビ家には今回初登場のサスロが政治の中枢を握っていて、キシリアやドズルとは微妙な関係なのです。
幼きキャスバルとキシリアの緊張あふれる対決があり、アストライアとともに自宅軟禁寸前でのキャスバルとアルテイシアの地球への脱出劇がハイライトになります。短い言葉では言い表せないほどの緻密なストーリー展開と印象的な場面が満載なのです。

おすすめポイント:
安彦氏の非凡さを思い知らされる一巻なのです。ダイクンの死と政変は旧ソ連・東欧の政変を思い出させ、ダイクンの葬列に敬礼するキャスバルはケネディ大統領の葬列をモチーフにしたことは明らかです。よく有りがちな正妻の妾への嫉妬と仕打ち、古城の塔への幽閉。
そんなありきたりで陳腐な設定が、さもありなんと説得力を持って感動を作り出していくのです。
若きランバ・ラルは正義漢を漲らせた青年将校で、ハモンはどこか謎めいた酒場の歌手。ダイクンの妻となったアストライアも同じ酒場の歌手仲間なのです。
ランバ・ラルはユーモアもあり人望も厚い好人物。若きキシリアも思いのほか真っ直ぐで実行力のあるやはり将校。しかもどうやら実兄を爆殺した首謀者のようです。
後半、連邦軍士官に変装したハモンの手引きでの脱出行はそのままハリウッド映画の一場面になりそうな見事なアクションシーンに仕上がっています。
言うまでもなく、父を失った幼いキャスバルとアルテイシアの逃避行が物語の最大のテーマなのですが、ラルとハモンの重ねて来た日々と育んで来た愛がもう一つのテーマに違いありません。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(9)

著者:安彦 良和,矢立 肇

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(9)

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2008/01/10

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -ジャブロー編・後-」

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (8)

      

買ったきっかけ:
8巻目にしてホワイトベースは早くもジャブローに到着です。でも少年達の漂流はまだまだ続くのです。

感想:
連邦軍の中枢ジャブローに到着したホワイトベース。少年達は任官し正規の軍人となります。ニュータイプとして「人体実験」されるアムロ。原住民を懐柔してジャブローへの潜入に成功するシャー。様々なエピソードと細かなディテールが加えられ、ジャブロー編は見事な物語に再構成されています。

おすすめポイント:
ちびっ子3人の脱走劇と活躍のエピソードは、ほぼアニメのままですが、爆弾を運搬する車両が大型重機になり、爆弾にも残時間タイマーがついて説得力が倍増です。連邦軍拠点へのシャー潜入部隊と本隊との連携もしっかり辻褄があうように物語が整理されています。ここ数巻に登場していたジャブロー攻略軍ガルシア司令官の無能な小人物ぶりがジャブロー攻略失敗に説得力を加えています。一方のレビル将軍の有能さが対照的なのです。それにしても連邦最重要拠点の攻略責任者にこのような人物が選ばれるとは。「ジオンに兵なし」のデビル将軍の言葉を裏付けるための設定のようにも思われるのです。ジャブローの軍幹部の官僚くささ。ジオン幹部の小人物ぶり。やはりファーストガンダムの物語は大人こそが楽しめるのです。

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (8)

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (8)

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2008/01/09

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -ジャブロー編・前-」

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(7)

      

買ったきっかけ:
愛蔵版3冊に引き続きはコミック版です。ぐんと小さな紙面が窮屈ですが物語の魅力は変わりません。コミック版は2冊で1編。まずはジャブロー編です。

感想:
北米西海岸から寄り道することなく(笑)南米リマ近郊に到達したホワイトベース。黒い三連星との出会い、ラルの弔い戦のハモンとその死、ジェットストリームアタックとマチルダの死。見所、読みどころ一杯の一冊です。

おすすめポイント:
旧スペインの植民地だった南米の古き良きヨーロッパ風の街並が美しい。ナスカの古代遺跡とホワイトベースの不思議な調和と現実感。
ジオン軍戦闘服姿のハモンは初登場です。ハモンの戦いは無謀なものでなく勝算のある計画的なものに描き直されています。ハモンは死を覚悟していたのではなく、弔い戦を勝利する決意だったことに納得です。
マチルダ中尉の死。その唐突さはアニメの印象のままですが、アムロが成長するためには必然の死であったのでしょうか。
この1冊でファーストガンダム1、2を争う美女二人が死んでしまうのですが、その意味することは対照的なのです。
愛した男のための死と愛する男を残しての死。マチルダ中尉の死の意味はやや「消化不良」なのです。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(7)

著者:安彦 良和

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(7)

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2008/01/08

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -ランバ・ラル編-」

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III ランバ・ラル編 (3)














愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III ランバ・ラル編 (3)

      

買ったきっかけ:
現在発売されている愛蔵版はこの3冊。通常版の2冊分を合冊しただけでなく、一回り大きく随所にカラーページが挿入され魅力的な仕上がりなのです。特にこの巻の表紙イラストは良い出来なのです。

感想:
本国でのガルマの葬儀、シャーの除隊、ランバ・ラルとの出会いと繰り返される戦闘。そして壮絶なラルの爆死。テレビシリーズでも人気の高かった物語が展開していきます。
テレビでは描かれなかった失脚中のシャーのアマゾンでの行動、メキシコを思わせるエキゾチックな砂漠でのラルやハモンとの出会いなどより詳細に描写される一つひとつの場面が実に魅力的なのです。

おすすめポイント:
アニメではこの時期存在感がないシャーが、実は連邦軍本拠地のジャブローを独自に探索していたとは。安彦氏のアイディアには脱帽です。とは言うもののランバ・ラルとハモンの分厚くなった人物像と深い大人の愛の描かれたかたは圧巻です。ランバ・ラルがともかくカッコいい。ひと言一言が、見つめる視線が、交わす言葉が大人です。戦い破れての死までが美しい。充実した人生の理想をそこに見てしまったのです。若くしてこんな人物と出会うことがあったなら、きっと別の人生を歩んでいたことを確信するほど魅力的なのです。その思いは安彦氏も同様だったようで、後の巻で若き日のランバ・ラルが再登場します。安彦氏に感謝!

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III ランバ・ラル編 (3)

著者:安彦 良和

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN III ランバ・ラル編 (3)

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2008/01/07

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -ガルマ編-」

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編








愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編

      

買ったきっかけ:
2回連続のガンダム話。いつもこのブログをお読みいただいたいる読者に皆さん、ついて来てください!
ちなみにファーストガンダムに熱中しているのは30歳〜40歳位の男性に多いようです。ガンダムアニメに熱中するには早く生まれ過ぎた筆者が、客観的に読んでも価値があるのが安彦良和氏の「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」なのです。

思えば「前ガンダム時代」はロボットアニメの停滞期であり迷走期でした。記憶にあるのは再放送の鉄腕アトムや鉄人28号。要するにロボットが戦っている以上のものではないマジンガーZシリーズなど。
鉄腕アトムで人間と対等の新たなロボット像が創造された後「悪と戦う」とのテーゼのもロボットは巨大化し戦争の道具化していきました。ビックX、レインボー戦隊ロビン、そしてマグマ大使などの特撮へと。
もはや理由も必然性もなく平和な地球を脅かす敵が現れ、正義の味方の巨大ロボットが平和を守る。ガンダム誕生前、それがロボットアニメの絶対的必然となっていました。

今や完全に世間に認知されているオタク少年であるアムロ・レイの登場。それは衝撃でした。正義漢でも熱血漢でもない普通の少年が操縦するロボットが、ごく普通の兵士が操縦する敵のロボットと戦闘する。いずれもが善でも悪ではない戦争の現実。味方の兵器は圧倒的でなく必勝でもないリアルな戦闘。
皮肉屋で反権力的なカイ・シデンの存在、それもまた衝撃でした。アムロに翻弄される艦長代理ブライトの苛立ちが新鮮でした。
ブライトやハヤト、ミライ・ヤシマなど、従来型の明確なキャラ設定の登場人物もまた多いのですが、それが当時のテレビアニメの限界だと言うことだったのでしょう。

ガンダムで育った新世代のクリエーターが制作した「新世紀エヴァンゲリオン」や「攻殻機動隊」の世界では、もはや登場人物は現実の人間同様に複雑で控えめで「ごく普通の人」ばかりです。わずか20年。日本のアニメはすでに超現実的設定のなかの「リアルな現実」の描写に到達してしまったのです。
鉄腕アトムにシンパシーを感じる世代にとって、ファースト・ガンダムは生理的に許容できる最後のアニメなのかもしれません。

感想:
大気圏突入に成功したホワイトベースを迎撃するガルマ・ザビ。本拠地は西海岸ロサンゼルスに設定が変更されています。アムロの母との再会と別れ。ガルマの特攻と死。アニメで人気の高かった場面が次々と展開します。
ガルマ編は比較的原作アニメに忠実です。

おすすめポイント:
リード大尉の小人物ぶりが強化されブライト艦長との軋轢が明確になったことで、アムロへのブライトの強圧的な態度の背景がはっきりしました。誰もが思ったアムロへの平手打ちの理不尽さ。もっとも所詮は八つ当たりなのだからブライトの不人気は不動です。
ガンダム発進の際のアムロの細かな指示「方バルトは低圧で!艦首はもうすこし右にむけてください」「前方への対空砲火止めて!!当たっちゃうでしょ!!」こんな台詞の追加で、アムロの性格描写や状況のリアリティがずっと増しているのです。
ジオン軍が接収しているハリウッドの高級ホテルの贅沢な空間や旧支配層との共存は、パリを占領したナチスとビシー政権を彷彿させ、ガルマと令嬢との恋は古きハリウッド映画の一場面そのまま。本編の主役ガルマは、わがままさ、人の良さ、自信家、熱血漢など良い意味でも悪い意味でも「お坊ちゃま」ぶり満載です。
束の間の休日、母親に会いに「私用」で戦闘機で出かける不自然さはさすがに修正されて軍用車に。ついでにインディージョーンズばりの大追跡劇が追加されています。
そして壮絶なガルマの特攻。その直後にガルマの死を令嬢に告げるエッシェンバッハ市長が突撃隊に射殺される場面を追加することで、デギン・ザビが杖をとり落とすあの名場面を一層印象深くしているのです。
ちなみにファーストガンダム一番人気のマチルダ中尉もミデア輸送機とともに初登場です。

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (2) ガルマ編

 

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2008/01/06

BraveBook:安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -始動編-」

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN vol.1 始動編








愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN vol.1 始動編

      

買ったきかけ: 
久しぶりに「ガンダムした」この正月です。
劇場版3部作を見た後の「舌足らずの物足りなさ」を満足するためには、以前にも紹介したことのある「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」しかありません。

感想:
テレビアニメのストーリーを原作者自らが「補完」し「再定義」し「再構築」する。空前絶後の試みが順調に進行しています。
古えの三国志や明治維新の偉人、太平洋戦争の戦陣訓で人生を考え語る時代が長く続きましたが、21世紀の日本では「ファーストガンダム」で人生を語る人が少なくない。そんなことを感じさせるのです。
所詮テレビアニメにしか過ぎない「機動戦士ガンダム」が、「THE ORIGIN」によって大人が読むに値する「ガンダム」を再創造したと言っても良いでしょう。
ファーストガンダムの全てを「饒舌」に語る安彦氏のストーリーは「見ることの出来る大河小説」そのものです。
人はどう生きるべきか。人生の目的とは。勇気とは。愛とは。友情とは。尊敬とは。
難しい言葉に苦労することなく、人生を考えるヒントがここにあります。

おすすめポイント:
ザクのサイド7への強行偵察から、ホワイトベースの大気圏までをまとめた「始動編」。ほぼテレビアニメのストーリーのまま細かなディテールを補完しています。第1話、ザク3体が宇宙都市し潜入する。潜入するザクは3体から6体に、戦闘に至る過程はよりリアルになっています。たまたまガンダムのマニュアルがアムロの目の前に飛んで来て、ざっと読んだだけで見事ガンダムを操縦して歴戦のザクに勝利する。そんな原作の都合良さは払拭され「なるほどね」と納得できるストーリーに修正されています。
シャーとセイラの偶然の再会もより自然なものになり、ホワイトベース本来艦長であるパオロ艦長の死に至る過程も感動的なものになっています。
官僚主義を象徴するかのように連邦軍正規将兵の軍服は灰色から漆黒に。臨時艦長ブライト・ノアは神経質でやや優柔不断な士官学校卒の参謀風に設定が強化されています。
歴戦の戦士「赤い彗星」シャー、実戦を知らず組織を知らないブライト、いかにも普通の民間人のアムロや仲間達。そんな対比が物語を分厚いものに変えています。
再突入に成功したホワイトベースとガンダム。絵柄としてより魅力的なものになっていますが、物語の主役は登場人物達なのです。

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN vol.1 始動編

著者:安彦 良和,矢立 肇,富野 由悠季

愛蔵版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN vol.1 始動編

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2008/01/05

BraveDVD:「機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス」

機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス


「圧倒的ではないか。このDVDは」
ギレン・ザビの満足げな独言が聞こえてきそうなDVDボックスの発売です。

公開当時そのままの鮮やかな色彩。
特に輝くような深みのある宇宙の群青。シャーの鮮烈な赤。

かつてDVD化された際に酷評されたアフレコも、劇場公開当時のオリジナル音声に戻されています。

どのように復元されたかの説明は同封のブックレットに詳しいですが、ファーストガンダムを愛するファンならぜひ手に入れておくべきだと断言できるでしょう。

今も続くガンダムシリーズの第一弾が「機動戦士ガンダム」80年代に放映されたテレビアニメです。
40話を超えるテレビシリーズのDVDも最近発売されましたが、今回発売されたのはテレビアニメ終了後に劇場公開用に再編集された3部作です。
テレビシリーズもよく出来ていましたが、テレビ放映終了後に人気が高くなって作成された、この劇場版3部作の成功をもって「ガンダム神話」が誕生したと言って良いでしょう。
アウトラインはテレビシリーズのままですが、ストーリーは巧みに再構成され新たに描き足された場面もかなりあります。特に第3部はオリジナル部分が半分以上とも言われます。
ガンダムマニアに人気の場面や台詞が、実はテレビシリーズには登場せず、この劇場版のシーンであることも少なくありません。

「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえのあやまちというものを」
「ザクとは違うのだよ!ザクとは。」
「あなたなら出来るわ」
「坊やだからさ。」

宇宙世紀0079年、ジオン公国と地球連邦が開戦。偶然から連邦軍の新鋭戦艦(強襲揚陸艦)ホワイトベースを運用することになった子供達。(設定によれば艦長ブライト・ノアでさえ何と19歳!)制作者によれば「十五少年漂流記」がモチーフになっているのだそうです。そう言われてみると、特にテレビシリーズでは超近代戦争であるにもかかわらず徒にホワイトベースが地球上を無意味に「漂流」しています。北米から南米ジャブローに行くのに遥々ユーラシア大陸を横断してみたり(笑)。

テレビシリーズも知らず初めてこのDVDだけを見るのはやや辛いですが、ガンダム入門編としては必要十分でしょう。アマゾン価格で13985円は決して安くはないですがぜひ。

この正月は久しぶりに「ガンダムして」しまいました。



機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス DVD 機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス

販売元:バンダイビジュアル
発売日:2007/12/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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