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2010/05/10

BraveBook:かわぐちかいじ「ジパング 43完結」

昨年末、ジパングがついに完結しました。
巻数なんと43!
まさに大河ドラマならぬ大河マンガそのものです。

太平洋戦争に自衛隊の最新鋭艦がタイムスリップ。
やもすれば陳腐になりかねない設定にも関わらず、
その後の展開は、いたって史実に忠実に、「超能力」や「怪しげな新兵器」が登場することもない科学的マンガに徹していたのです。

終盤の10巻ほどは、息の詰まるような心理劇が中心で、展開も遅く、どんな終わり方をするのかが心配だったのですが、そこはベテラン漫画家の力量。
しっかりと劇的に、きっちりと論理的に、実に納得の大団円でした。
ここでは、あえて内容の紹介はやめておきましょう。

以前にもご紹介したとおり、この物語の素晴らしさは、何と言っても「あの時代」の空気を見事に描ききっていることでしょう。

戦後日本の「トラウマ」とも言える、昭和初期からの軍事国家化と対外侵略政策の展開、実はその背景にある退廃的な風俗や国民の意思。
西欧諸国に並んだという国民の満足感と、植民地帝国を築き上げつつあった自国への誇りと奢り。
どんなに教科書を勉強しても、その時代を様々な立場で生きた当事者達の回想録を読んでみても、もう一つハッキリとしないそんな「時代」の雰囲気が、帝都東京での物語や満州帝国を舞台とする物語から、ひしひしと伝わってくるのです。

かといって、「あの戦争は間違っていた」とか「軍部の独走などなかった」などという政治的メッセージが含まれているわけではありません。
あくまで、娯楽作品として楽しめる。それでいて、年表や教科書では決して理解できない日本近代史を安心して学べる優れた「教科書」だと言えるでしょう。

これを機会に、改めて1巻から再読してみようと思います。


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