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2010/08/22

BraveBook:かわぐちかいじ「ジパング 5」

山本長官の提案により、海軍の本拠地・横須賀へと出航する「みらい」
護衛は、日本海軍が誇る大型潜水艦伊号1隻。
辻正信、石原莞爾など、太平洋戦争に詳しい方ならよく知る人物も、今後の伏線として登場です。
余談ですが、石原莞爾著の「最終戦争論」は実際に読んでみると、語られるほど荒唐無稽でも予言的でもないように感じられます。過去から現在(執筆時)までの戦術や戦闘の変化を概観し、当時の日本の有識者の「常識」により、科学的に将来の可能性を論じた、そんな印象でした。興味がある方はぜひご一読を。(青空文庫にも収録されています。)

単なる戦闘漫画ではないことを感じさせる、巧みな時代描写が随所に見られる本巻。
第一次大戦の「勝利」によって、南太平洋の旧ドイツ植民地を引き継いだ大日本帝国の海軍本拠地がトラック諸島にありました。海軍御用達の料亭もあって、そこには「大正生まれ」の若い芸者が沢山いて、太平洋戦線の南方戦線が突然の日本軍の侵略で開かれたのではないことを、改めて認識させられます。

物語を進行させるのは、あくまで登場人物たちが交わす会話とエピソード。
一つひとつが魅力的な場面を積み上げつつ、壮大なドラマが進行していきます。
その手法は、名作と言われる映画に共通するもの。
所詮2時間を限界とする映画ではなし得ない、緻密で多面的な場面展開こそが「ジパング」をはじめとする日本漫画の限りない魅力です。

この巻の草加少佐は軍籍を離れたこともあり、白い麻のスーツとパナマ帽で登場です。あの名画「カサブランカ」を思わせるスマートな着こなし。
そして、海軍の白い夏服と金色の参謀飾緒(しょくしょ・かざいお)、それすらもがカッコ良く見えてしまう、かわぐち氏の描写力に脱帽です。



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2010/08/08

BraveBook:かわぐちかいじ「ジパング 4」

ガダルカナル攻防戦。
太平洋戦争の前半戦、次々に南方を占領し優勢にあった日本軍に大きな転機となった戦場です。
その緒戦。上陸中の米軍艦隊を夜間に奇襲した三川艦隊。
ミッドウェイ海戦と同様、その判断と行動を巡って、さまざまな議論がなされている、戦史マニアにはよく知られた戦闘です。

ジパングは、この巻から本格的に物語が展開し始めます。
「みらい」が発射するトマホークによる米軍への警告。
米軍上陸部隊を殲滅する為に、史実に反して出現する「大和」以下の連合艦隊。
「大和」主砲の一斉射。
イージスシステムによる、主砲弾の迎撃(!)

そして、草加少佐が語る「ジパング」への思い。

物語は急展開していきます。

この巻まで読んだとき、これが「未来から出現したイージス艦が、太平洋戦争の局面に意図すると、意図しないとい関わらず影響し、その展開と結末に影響する。」物語なのだと、多くの読者が思ったに違いありません。

でも、「ジパング」はそんな月並みな予想を良い意味で裏切って、壮大な大河物語を紡いでいくことになります。


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