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2011/06/05

BraveBook:かわぐちかいじ「ジパング 12」

ヨーロッパから物語の舞台は再びアジアに。
連合艦隊の、南太平洋本拠地トラック諸島からパラオへの撤収。
後に物語で重要な役割を担うことになる、物理学者・倉田万作の登場。
ロシアの保護の元で、原爆開発のための研究を続ける科学者との接触と濃縮ウランの入手。
物語は、草加の構想する「日本による世界最初の原爆開発」に向けて、いそがしく展開していきます。

多数の軍属(民間人)が乗船する客船(民間船)への米潜水艦による容赦ない攻撃。実際の太平洋戦争後半に、無数に展開された一方的な虐殺の悲劇。
日本軍伝統とも言える兵站軽視の軍運用にあって、一艘の軍艦の護衛もなく人員や物資を輸送していた民間徴用による商船群は、制空権・制海権を日本軍が失うにつれて、無抵抗のまま一方的に撃沈される運命にありました。
多数の人々が国のため、あるいは無為に死んでいくなかで、戦後日本の価値観のなかで育成された海上自衛隊「みらい」の、民間人の懸命の救助活動は「異質」で「奇異」なものに映ります。

沈没する長安丸の乗客の救助に全力をあげる「みらい」の乗員達。その活躍が、東日本大震災での自衛隊に重なりました。
そして、現場の惨状にあまりに無関心・無頓着な高級将校や参謀本部に、東電幹部と管内閣・国会議員・高級官僚が重なるのは、あまりに悲しい現状なのです。

「人命軽視」の戦前日本の悪しき価値観は、敗戦によって本当に「消滅」できたのか。

「平和」と「人命」と「人権」を尊重し愛する戦後日本は、実は「幻」ではないのか。

福島原発事故に取り組む作業員への処遇や恣意的な安全基準緩和を見るとき、そんな疑念が浮かんでくるのです。

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