
PS3が発売になり、再び一年戦争を舞台にした「ターゲットインサイト」も発売されたこの時期に、ガンダムファンのサイトでは散々な言われようの「機動戦士ガンダム一年戦争」をレビューします。
いまやアマゾンでの取り扱いも終了し、家電量販店では1000円以下の処分品扱い、中古品に至ってはワンコイン(500円)で購入可能な「一年戦争」です。
このゲーム「言われるほどには酷いものではない」との感想です。
左右のアナログスティックを使用する操作系は「ターゲットインサイト」にも踏襲されていて、方向キーなどを利用するそれまでのものより自然にガンダムを操作できる点がなかなか魅力的だからです。
数多いガンダムゲームの最終型だと思うと納得いかない気持ちもわかりますが、新たな操作体系の実験的作品と思えば、少なくとも1000円を出す価値は充分あります。このゲームでガンダムの新たな操作方法を習得して、PS3が豊富に流通するまでの間に「ターゲットインサイト」へのチャレンジに備えましょう。
*** ストーリー、ゲームの内容 ***
ご存知、一年戦争をほぼ忠実に再現した28のステージで構成されます。使用する機体はアムロ仕様のRX78−2のみ。ステージ一巡後は、連邦軍の他モビルスーツが使用可能となりますが、ステージ内容は全く同じです。
各ステージは、基本的にはアムロに成り代わってガンダムに搭乗してジオン軍MSと戦闘していきます。いくつかのステージでは、他機種やホワイトベース機銃を操作します。特定のステージで原作に忠実な動作をすることで、印象的場面がメモリアルアクションとして再現されます。
ステージは数分程度で終るものがほとんどで、この短さがガンダムゲームファンの不満の一つとなっています。
*** ステージ内容、戦闘 ***
場面は大きくわけて地上と宇宙。特に3次元に機動する宇宙空間の戦闘は非常に面白く、アナログスティックによる操作系が最大限に効果を発揮しています。
ガンダムの機動力と火器の貧弱さが原因で、クリアが難しくなっていることが、ガンダムゲームファンの不満のもう一つです。「戦艦の主砲なみ」であるはずのビームライフルは、ザクでされ数発が直撃しなければ撃破できず、スラスターはほんの数秒しか動作しないため、敵の攻撃や追跡がなかなか困難なのです。
さらに、水中での緩慢な動作(水の抵抗がリアルに設定されすぎなのです。)のストレスと、異常なまでに高機動なMSグアブロ。このステージで挫折したプレーヤーは数知れないようです。
しかも、最終ステージ近く、ジャンプ力ぎりぎりに設定されている所謂「階段のぼり」のステージ。相当長い戦闘を続けた最後にあって、時間制限ぎりぎりで、しかも何となく空しい試練が落伍者を増加させているようです。
そしてララーの搭乗するエルメスのあまりの強さ。幻想的な空間描写はともかく、自らがニュータイプとして本当に覚醒しない限りクリアできないほどの難しさです。
しかし、攻略本を入手してでも、ともかくも1回ストーリーモードをクリアしてしまえば、このゲームを徹底的に楽しむことができます。
ノーマルモードクリア+メモリアルアクション全クリアで使用可能となるRX78−3さえ入手すれば、どのステージも互角の戦闘が可能となり、なかなか壮快なのです。ビームライフル、ビームサーベルの威力は原作のイメージに近いほど強力になっており、ダッシュやジャンプもより長く高く可能となるからです。
フリーモードで、お気に入りのステージのみをRX78−3で戦闘する。これが一番のように思います。
*** 操作方法、操作系 ***
説明書に「このゲーム独特の」と制作者みずからが書いている操作方法なのですが、以前の操作方法を知らないものにとっては、実に良く出来ていると言うことができます。
日本のレバーと「音声コントロール」で操作されていた鉄人28号のごとき操作系です。「いけ鉄人! パンチだ!」両手でレバーを前後させる正太郎少年が目に浮かびます。
え?古すぎて解らない。ぜんぜん違うよ。
ファーストガンダム世代、鉄人世代両方から抗議が殺到しそうです。
ごもっともです。「懐かしのアニメ特集」などでちょっと見ただけで、解ったふりをしてみました。あくまで、2本のレバーで操作しているところに共通点を感じただけです。
真面目に説明しましょう。
ゲーム中に使用するのは、左右のアナログスティックとRL123のボタンのみ。おわかりのように、親指・人指し指・中指は固定位置のままで、戦闘が行えます。これが最も優れている点です。従来の操作方法では、コントローラー上のボタンに移動や兵器使用が割り当てられていたため、ガンダムコックピット内の操作イメージとだいぶ異なっていました。
ご存知のとおり、最新戦闘機などでは操縦桿から一切手を離さずに操縦と火器操作の全てが可能ですが、このゲームで採用された操作系ではデフォルトのコントローラーでほぼ同様の機能を実現したところが評価できます。
左手に割り当てられたのが機体の操作系。アナログスティックで前後左右への移動が可能です。倒す角度により歩行から走行まで無段階で変化することはもちろん、斜めへも自然に移動する優れものです。L1はダッシュ。スラスターが動作して前後左右に素早く移動できます。L2はジャンプ。地上戦ではもちろん、宇宙でもスラスター噴射によって垂直に移動します。
右手に割り当てられたのは戦闘系の操作。右アナログスティックはガンダムの「視線」で敵MSやミサイルなどの目標を捉えるために使用します。連動してガンダムの姿勢や向きが変化します。複数の敵がいるときに、目標を切り替えるのも特別なボタン操作ではなく、やや強引にスティックを移動させることで行えるのが現実的だったりします。火器の照準はほぼ自動ですが、本格的FMSのように危険度によって優先順位が付くわけではなく、とりあえず近いものに照準されるので、目標変更の必要は結構あります。
照準は、相手方との距離や移動速度によってリアリティーがある不正確さで、赤く照準していても、遠距離・側面からの射撃ではほとんどヒットしません。これが実はガンダムゲームファン最大の不満点のようですが、とても現実的で機体の巧みな制御によって射撃をヒットさせたときの快感は格別だと思われます。
R1はビームライフル、R2はビームサーベルに割り当てられ、R1は三連射まで、R2は状況に応じて様々な角度で自動で斬りかかります。
意外に重宝するのがRL3共通に割り当てられた頭部バルカン。前方の全域をほぼ網羅して自動照準され、射撃時間の制限はありますが、ほぼ無限に発射できます。敵MSの攻撃にはもちろん、実体弾の迎撃はバルカンの独壇場です。敵MSにサーベルで攻撃する際に、バルカンを連射しつつダッシュすればほとんどの被弾は防げます。
左右両手でコントローラーをしっかり保持して、左右親指の操作を中心に行う戦闘は、鉄人28号そのままです。(またか!)
ゲーム内容はともかく、この優れた操作系が正当に評価されないまま放棄されるのはあまりに惜しい。ぜひこの操作系を採用した新たなゲームが発売されることを願ってやみません。
両手でしっかりと握れるレバーが2本ある専用コントローラーが発売されるなら、まさにアニメそのままの戦闘が楽しめることは間違いありません。
4点式ベルトを装着して、シート両側のレバーを操作してガンダムを操縦する。永遠の憧れを実現できる操作系だと評価します。
*** ゲーム総括 ***
確かに酷評されるに値するゲームでもある「機動戦士ガンダム一年戦争」ですが、その全てを否定するにはあまりに惜しいゲームでもあります。
最大の間違いは、一年戦争の基本プロットを誤ったことです。
過大なまでに高性能なガンダムと未熟なパイロットであるアムロ、そして性能に劣るものの優れた技量によって互角以上の戦火をあげるシャー。これが、やはり一年戦争の基本構図です。
ガンダムの性能を抑えることで難易度を上げたのはやはり間違いです。未熟な技量をガンダムの性能に助けられるところに、一年戦争・ファーストガンダムの基本的設定としての楽しさがあることは否定できません。それを体験できないことが、このゲームの評価を不当に低くしているのです。
明らかに性能に劣るザクが、技量に優れたジオン兵により有効に運用されている。後半は、ガンダムを性能面で凌駕する新MSが登場する。これが、やはり一年戦争の戦闘の世界なのです。
とは言うものの、漆黒の宇宙空間に浮かぶムサイの主砲の閃光や青き地球など、他のゲームでは味わえない魅力です。あえて続編、そしてPS3版の発売を期待したいところです。
最後に要改良点について報告します。
・ガンダムの性能全般の向上
RX78−3並みの機動性と火力を初期設定にすべきでしょう。操作に不慣れな前半こそ、その高性能が必要とされるからです。
・ステージ内容の充実
戦闘内容の貧弱さは、やはり補強されるべきです。特に宇宙空間での戦闘ミッションは良くできているだけに、その操作性を生かしたより長いストーリー性のあるものが、ぜひ欲しいところです。
・ジオンMSでの戦闘
ファーストガンダム世代に人気なのはやはりザク。基本性能に劣るザクで、連邦軍の新モビルスーツを撃破するのは夢です。それは、ジオン目線でガンダムを見たいとの願いでもあります。続編の本命は、ジオン側から各ステージを戦うゲームなのでしょう。そう、シャーである必要はないのです。ジオンの一兵士として、ザク、グフ、ゲルググなどで戦闘したいのです。
